乳がん検診について |
県内の女性の乳がん死亡率は上昇の一途をたどっています。平成17年において、人口10万人当たりの死亡率は17.5であり、40代、50代の女性においては、がん部位別死亡割合において、乳がんが最も高くなっています。
富山県では、平成13年度から全国に先駆けて、全市町村において、マンモグラフィ(乳房エックス線)を用いた乳がん集団検診を導入しました。マンモグラフィは、レントゲン画像で異常の有無を確認でき、視触診のみの従来検査に比べてがんの発見率が高いとされており、現在積極的に行われています。
しかし一方、乳腺の密度が高い若年世代においては、マンモグラフィでは異常が発見しにくいという問題点も浮かび上がってきています。
乳腺の密度が高い若年世代では、マンモグラフィは全体的に白っぽく写ります。
マンモグラフィでは、腫瘤は白く写るため、若年世代は乳腺の中に紛れてしまい発見しづらい場合がありますが、年齢が高くなるにつれ、乳腺は脂肪組織におきかわるため、全体的に黒っぽく見えるようになります。腫瘤は、白く目立ちやすくなってきます。
超音波とは、写真のような機械を使います。体の表面を軽くなでるようにして、体の内部を調べる検査です。
乳腺超音波では、マンモグラフィとは逆で腫瘤は黒く写ります。
左側が、30歳の方の超音波画像です。
胸部の断面と考えてください。
この白く帯のように見えるところが乳腺です。はっきり見えています。
一方右側の58歳の方では、乳腺の部分に黒い筋状のもの、脂肪が入り込んでまだら状に見えます。
30歳の方では白い背景に黒い腫瘤があるので認識しやすいですが、58歳の方では黒い背景に黒の腫瘤影なので分かりにくくなっています。
この画像からもわかるように、超音波だと、若年者の方でも、腫瘤を発見しやすくなることが予測されます。
乳腺の状態は個人差が大きいので、一概には言えませんが、このような特徴より、マンモグラフィは年配の方向きで、超音波は若い方向きと考えられます。
各地域の乳がん集団検診を受ける女性のうち、30、40代の希望者約300人を対象に、これまでの視触診、マンモグラフィに加え、超音波検査を加える予定にしています。
がんを確実に発見できるよう、質の高い検診を提供していきたいと考えています。